説明時間を削減しながら、信頼も深める。 北海道大学病院の導入事例
北海道大学病院
医療の質を保ちながら説明業務を効率化
─「DICTOR」が支える現場の変革
医療従事者による説明を、本人の声で届ける支援ツール
「DICTOR(ディクター)」は、医師や看護師ご本人の声をもとにした説明動画を作成し、術前説明や入退院時の案内など、患者さんへの説明業務をサポートするサービスです。
動画を用いることで、医療現場の業務効率化に貢献するとともに、患者さんやご家族が安心して医療を受けられる環境づくりを支援します。
本記事では、北海道大学病院での導入事例をご紹介します。
導入施設紹介
北海道大学病院は、「良質な医療の提供」「優れた医療人の育成」「先進的な医療の開発」を通じて社会に貢献することを理念としています。
同院では、研究機関との連携を活かした先進的な医療DXの取組みが進められており、DICTORもその一環として導入されました。

開発の背景と制度面への配慮
北海道大学病院 臨床研究開発センター 渡邊祐介先生
DICTOR開発の経緯を教えてください。
「北海道大学では様々な医療技術が生まれていますが、その研究開発を支援する中で、最近ではAIやデジタル技術を用いた医療DXに力を入れています。DICTORもその文脈で導入されました。」
―渡邊先生は、TOPPANが開発したアバター技術を初めて見たとき、医師の働き方改革が求められる中で、診療に集中できる環境を整えるソリューションとしての可能性を感じたといいます。
「医師の時間が限られている中で、患者さんやご家族への説明も必要です。アバターによる説明が疑似的な診察体験を提供できると考え、患者さんにも医療者にも有用だと感じました。」

開発で特にこだわったポイントを教えてください。
開発にあたっては、現場で継続的に使われるための「使いやすさ」を重視し、TOPPANとともにユーザーインターフェースの改善を重ねてきました。
また、説明動画を単に流すだけではなく、いつ・誰に・どの動画を見せたかを医療記録として残すしくみや、記録の改ざん防止の仕組みも重要なポイントです。
医療制度との整合性も大事です。イラストや映像を見せるだけでは記録に残らない。診療録と連動し、証拠性のある形で残せるのがDICTORの大きな特長です。
アバターによる“人柄”の伝達と患者の安心感
DICTORのアバター(デジタルクローン)は、医療者本人の外見や話し方を再現します。
実際に利用した患者さんからは「説明動画を見て、先生と話した気がした」といった反応があり、初診前の不安軽減に効果があることが確認されました。
「コロナ禍以降、診察時に表情が読み取りにくい状況が続いています。アバターを通じて、事前に“先生の雰囲気”に触れていただけることは、私たちが思う以上に大きな意味を持っていると実感しました。」
また、動画は患者さんが繰り返し視聴でき、説明を受けるタイミングを自分で調整できる点も好評です。
「デジタル技術によって、時間や空間の制約を超えて説明できるようになりました。これは現場にとって非常に価値があります。」

医師の声─説明時間の40%削減という効果
北海道大学大学院 消化器外科学教室Ⅰ武冨紹信教授
実証を経て、効果や患者さんの反応はいかがでしたか?
外科領域では、術前の説明が非常に重要です。DICTOR導入後は、患者さんが事前に説明動画を視聴し、質問を用意した状態で診察に臨めるようになりました。
視聴後に質問の時間を設けることで、内容理解が深まったと感じます。実際に、説明にかかる時間は約40%削減されました。
現在、100名以上の患者さんに対してDICTORを活用しており、説明の質と効率の両立に貢献しています。今の医師の働き方改革の中で、タスクシフトにおける有力なツールになっていると考えています。

今後どのように活用をされていきますか?
術前の説明のみでなく、他の様々な場面で我々の外科医療そして外科診療を通して患者様そしてご家族に説明が必要な場面は非常に多くあります。
アバターを通して“私たち自身の声と顔”で伝えられるというのが、患者さんにも好評です。今後は術前説明に限らず、定型的な説明業務にも広く活用していきたいと考えています。
看護の現場での実感
北海道大学病院 地域医療連携福祉センター 看護師長 大森のぞみ様
看護部でのDICTOR導入について、いかがでしたか?
DICTORの導入にあたっては、看護師の立場からも運用上の不安がありました。しかし、実際に使用してみると、患者さんの理解度向上やスタッフの負担軽減といった効果が明確に見られたといいます。
動画を視聴した患者さんは、内容を理解したうえで質問されるようになりました。再生・停止・巻き戻しが自由にできる点も、非常に好評です。
看護師側でも、患者が動画を視聴している間に他の業務を行えるようになり、待機時間の活用にもつながっているとのことです。
私たちが本来行う説明を動画で代替できることで、より効率的に、かつ安心して対応できるようになりました。

患者説明業務支援サービス「DICTOR」
DICTORは、患者さんへの説明業務を支援し、医療現場の業務効率化とコミュニケーションの質の向上を実現するサービスです。
導入をご検討の際は、医療機関の規模やニーズに合わせたご提案・デモのご案内も可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
本記事はインタビュー動画の内容を書き起こしたものです。動画は以下のリンクからご覧いただけます。